☆ 魂の個性セミナー

魂の個性セミナー

吾輩は猫である。

名前はまだない。

どこで生れたか頓(とん)と見当がつかぬ。

何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

吾輩はここで始めて人間というものを見た。

しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪(どうあく)な種族であったそうだ。

この書生というのは時々我々を捕(つかま)えて煮て食うという話である。

しかしその当時は何という考(かんがえ)もなかったから別段恐しいとも思わなかった。